​交通事故による慰謝料|橋本あれふ法律事務所

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交通事故による慰謝料について

入通院(傷害)慰謝料

 入通院(傷害)慰謝料とは,受傷による精神的損害です。

 傷害による肉体的苦痛に加えて,検査・治療のための入通院により時間がとられ,行動の自由が制約される煩わしさ・不利益が含まれています。

 算定基準は,入通院期間を基礎として入通院慰謝料表の基準が目安となります。ただし,通院が長期にわたり,かつ不規則である場合は,実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがあります。

傷害慰謝料別表Ⅰ

傷害慰謝料別表Ⅱ

 例えば,骨折という他覚症状がある傷害を負い,入院2か月及び通院10か月で完治した場合には,「別表Ⅰ」に従って203万円の入通院(傷害)慰謝料が目安になります。

 他方,他覚症状のない頚椎捻挫等のむち打ち症により,入院1か月及び通院6か月で症状固定を迎えた場合には,「別表Ⅱ」に従って113万円の入通院(傷害)慰謝料が目安となります。

 もっとも,①仕事や家庭の都合等で本来より入院期間が短くなった場合,②通院治療であってもギプス固定により自宅安静をしていた場合,③入院の空室がなく待機を余儀なくされたような場合等には,自宅待機期間や自宅安静期間を入通院期間とみるべきとの見方もあり得ます。

 また,14級相当に満たない軽微な後遺障害が残った場合や,将来治療費が見込まれるもののその算定が困難な意思不可能な場合等にも,慰謝料増額の主張を検討する余地があります。

後遺障害慰謝料

 後遺障害慰謝料は,後遺症による精神的損害に対する慰謝料です。

 後遺障害慰謝料の額については,後遺障害等級に応じて慰謝料の基準額が設けられており,これが一つの目安となります。なお,後遺障害の等級は,自動車損害賠償保障法施行令の別表第1及び第2として定められています。

後遺障害慰謝料表

 もっとも,後遺障害の程度が14級に至らない場合(非該当)でも,その後遺障害の程度に応じた慰謝料が認められる場合もあります。

※東京地判平成12年1月19日
 14級に至らない頸部痛,跛行,左股関節痛等の運送業勤務の男性につき,労働能力喪失まで認めるに足りる証拠はないが,これが日常生活や社会復帰を躊躇させ,将来の不安を抱かせる要因ともなっている点を斟酌し,慰謝料100万円を認めた。

※横浜地判平成20年11月14日
 頚椎捻挫による頸部痛,頭痛等(等級非該当)の看護師につき,傷害分97万円,後遺症分55万円を認めた。

死亡慰謝料

 死亡慰謝料は,被害者が死亡した場合の慰謝料であり,遺族に慰謝料請求権が相続されます。

 死亡慰謝料の算定は,被害者が「一家の支柱」の場合と「その他」で算定基準が分けられます。

死亡慰謝料表

 「一家の支柱」とは,被害者の世帯が主として被害者の収入によって生計を維持している場合をいいます。

 独身者であっても,高齢な父母を扶養し,あるいは仕送りをしている場合や,家事労働を中心的に行っている主婦や養育を必要とする子を持つ母などは,「その他」の中でも比較的高額の慰謝料算定が行われる可能性があります。

近親者の慰謝料

 被害者が死亡した場合には,民法711条により近親者に対する慰謝料が認められます。

 民法上は,父母・配偶者・子だけが列挙されていますが,内縁配偶者,事実上の養親子,兄弟姉妹等についても,同条の類推適用により慰謝料が認められる場合があります。

 また,被害者が死亡した場合だけでなく,極めて重い後遺障害を負った等その生命が害された場合に比肩すべき精神上の苦痛を受けたときも,民法709条及び710条により近親者固有の慰謝料が認められます。

※大阪地判平成23年10月5日
 被害者(男性・症状固定時30歳)に,事故により1級1号の後遺障害が残ったことにより,同人の両親は同人の生命侵害の場合にも比肩しうべき精神的苦痛を受けたとして,固有の慰謝料各200万円を認めた。また,同人の姉も同様の精神的苦痛を受けたとして100万円の固有の慰謝料を認めた。

慰謝料の増額事由

 飲酒運転,無免許運転,ひき逃げ,著しい速度違反,信号無視,著しく不誠実な態度をとった等,加害者側に故意・重過失・悪質性が認められる場合には,その態様に応じて慰謝料が〇割増しという形で増額される傾向があります。

※京都地判平成23年10月7日
 被害者の標準的通院慰謝料は108万円であるが,本件事故は加害者側の一方的過失によるものであること,事故直後に加害者が被害者を罵倒したこと,訴訟においても加害者はその責任を否定する主張を行っていること等の事情から,被害者の精神的苦痛が著しく増幅されたとして,標準的な慰謝料額を2割増額した。