​成年後見人が選任されていた方が死亡した場合|橋本あれふ法律事務所

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成年後見人が選任されていた方が死亡した場合

成年後見人が選任されていた方が亡くなった場合、成年後見人の職務は終了し、管理していた財産は原則として相続人に引き継がれることになります。

成年後見人による財産引き継ぎの手続き

成年後見人は、被後見人の死亡に伴い、管理していた財産を相続人に引き継ぐための手続きを行います。

相続人の調査

後見人は、まず被後見人の相続人を調査します。就任当初からの身分関係に変動がある可能性もあるため、死亡時点での最新の戸籍謄本を取り寄せるなどして、正確な身分関係を確認する必要があります。

相続人への財産引き渡し

相続人の数によって、財産の引き渡し方法は異なります。

  • 相続人が一人の場合: 成年後見人は、全ての相続財産をその相続人に引き継ぎます。
  • 相続人が複数いる場合: 相続財産は相続人の共有物となります。成年後見人には、後に相続人間の紛争に巻き込まれるリスクを避けるため、特に慎重な対応が求められます。
    • 遺産分割協議に基づく引き渡し: まずは相続人間で遺産分割協議を行ってもらい、その協議結果に従って財産を引き渡す方法が考えられます。この際、成年後見人は遺産分割協議書と各相続人の印鑑登録証明書の写しを受領しておくべきです。
    • 相続人代表者への引き渡し: 遺産分割協議が長期化する可能性があるため、実務上は、相続人全員の同意のもと、相続人の代表者に財産を引き渡す運用が多く行われています。この場合、相続人全員の同意があったことの証として、「相続財産の引渡合意書」に相続人全員の実印を押捺してもらい、各相続人の印鑑登録証明書と共に受領すべきです。
    • 相続財産管理人選任の申し立て: もし相続人による財産引き継ぎに関する合意が得られない場合は、成年後見人は家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てることができます。この場合、選任された相続財産管理人に財産を引き継ぐことになります。

遺言執行者が選任されている場合

もし被後見人が生前に遺言を作成し、その遺言の中で遺言執行者が定められていた場合、成年後見人は相続財産を遺言執行者に引き継ぐことが基本となります。これは、遺言執行者が相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持ち、相続人は遺言執行者の職務を妨げる行為ができないためです。

死後事務

成年後見人は、被後見人の死後、火葬や埋葬に関する契約の締結など、相続財産の保存に必要な行為を行うことができますが、これには家庭裁判所の許可が必要です。ただし、死亡届の提出は、同居の親族など、より広範な届出義務者が行います。

さいごに

成年後見人が選任されていた方が亡くなられた場合、成年後見人の職務は終了し、管理していた財産を相続人に引き継ぐことになります。相続人が複数いる場合や、遺言執行者がいる場合など、状況に応じた適切な手続きが必要です。特に相続財産の引き渡しについては、後々のトラブルを避けるためにも慎重な対応が求められます。

このように、成年後見制度における被後見人の死亡後の手続きは、多岐にわたり複雑です。不明な点やご不安な点がございましたら、お早めに専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。当事務所では、こうした成年後見制度に関するご相談も承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。